【愛媛県】E:N BASE初公開視察から考える、国農連と地域農業の新しい接点
愛媛県国際農業者交流協議会Share
NF愛媛|E:N BASE視察記録
E:N BASE初公開視察から考える、国農連と地域農業の新しい接点
2026年5月8日、愛媛県庁第2別館に整備された官民共創拠点「E:N BASE」の一般公開視察に参加しました。正式開設前の空間を実際に見ながら、愛媛県国際農業者交流協議会にとってこの場所が持つ意味を考える機会となりました。
- 視察日
- 2026年5月8日
- 会場
- 愛媛県庁第2別館 E:N BASE
- 主な視点
- 海外農業研修、OB・OG会員、地域農業、官民共創
県庁の中に生まれた、共創のための開かれた場所
E:N BASEは、単なる会議室や貸しスペースではありません。多様な主体が出会い、つながり、共に挑戦するための官民共創拠点として整備されています。
視察でまず印象に残ったのは、行政施設でありながら、空間全体が「相談する」「出会う」「試す」「発信する」ことを前提に設計されている点でした。カフェ、交流エリア、ステージ、コラボレーションスペース、スタジオなどが一体的に配置され、参加者が一方向に話を聞くだけでなく、自然に話し合い、次の行動へ移りやすい構成になっています。
県庁第2別館という行政の中核に、あえてこのような共創拠点を設けることには、明確な意図を感じます。行政が一方的に制度を説明する場所ではなく、地域、企業、教育機関、金融機関、農林水産事業者、若者などが課題を持ち寄り、新しい接点をつくる場所にしていくという方向性です。
農業もまた、共創の中心に置かれるべき産業
愛媛県国際農業者交流協議会にとって重要なのは、この共創の文脈に農業が含まれていることです。愛媛の農業は、柑橘、米、野菜、畜産、養蚕、加工品、地域ブランド、観光、教育、海外展開など、多様な産業や地域課題とつながっています。
しかし、農業はしばしば「生産現場の内側」だけで語られがちです。本来は、地域資源、食、教育、輸出、観光、環境、担い手育成、事業承継、地域コミュニティと深く結びついた総合的な産業です。E:N BASEのような場所は、農業を単独の分野としてではなく、他分野とつながる愛媛の基幹的な地域資源として見直すきっかけになります。
特に、海外農業研修を経験したOB・OG会員にとって、この場所は大きな意味を持つ可能性があります。海外で学んだ技術、経営感覚、異文化理解、挑戦する姿勢は、帰国後に地域農業の現場で活かされてきました。その実践を、地域内だけに留めず、他分野の人々と接続することができれば、農業の価値はさらに広がります。
海外農業研修の啓蒙活動を超えて
国農連の活動は、これまで海外農業研修制度の紹介や、帰国研修生のネットワーク維持を中心に進められてきました。それは重要な基礎です。一方で、これからは「海外へ行く人を送り出す」だけでは十分ではありません。
必要なのは、研修を終えて帰ってきた人たちが、県内各地でどのように地域のリーダーとして活動しているのかを可視化することです。農業経営、地域ブランドづくり、若手育成、学校との連携、地域資源の継承、海外との接点づくりなど、OB・OG会員の活動には、愛媛の未来を考える材料が多く含まれています。
E:N BASEは、その活動を社会に開き、行政、企業、教育、地域団体、若者と結び直す場になり得ます。海外農業研修の啓蒙活動だけでなく、帰国研修生の実践を地域社会に還元するための共創拠点として活用できる可能性があります。
OB・OG会員が地域の実践者として集まる意味
愛媛県国際農業者交流協議会のOB・OG会員は、単なる同窓会的なつながりではありません。海外農業研修を経験し、地域に戻り、農業経営や地域活動を続けている実践者のネットワークです。
その経験をE:N BASEのような場所で共有すれば、若い世代にとっては「農業の進路」を具体的に見る機会になります。企業や行政にとっては、現場から見た地域課題や支援ニーズを知る機会になります。OB・OG本人にとっては、自分たちの取り組みを別の分野の人々と結び、新しい協力関係をつくる機会になります。
この視点に立つと、E:N BASEは、単にイベントを開催するための場所ではありません。国農連が、従来のOB・OG会型活動から、地域と若者に開かれた共創型の団体へ移行していくための象徴的な場所になり得ます。
愛媛県国際農業者交流協議会が考えるべき次の問い
今回の視察を通じて、NF愛媛にはいくつかの問いが投げかけられているように感じました。
第一に、海外農業研修の価値を、若い世代にどう伝えるか。
制度説明だけでは届きにくい時代です。OB・OGの実践、地域での挑戦、海外経験が経営や人生に与えた変化を、具体的な物語として伝える必要があります。
第二に、帰国研修生の活動を、地域社会とどう結び直すか。
農業者だけで閉じるのではなく、教育、企業、行政、観光、文化、食、海外展開と接続することで、活動の意味は広がります。
第三に、私たち自身がどのように開かれた団体へ変わるか。
会員向けの内部活動だけではなく、若者や地域の関係者が参加しやすい公開型の企画を増やすことが必要です。
共創拠点を、農業の未来を語る場所へ
愛媛の農業は、担い手不足、高齢化、事業承継、地域資源の継承、販路開拓、国際化といった複数の課題に直面しています。これらは、農業者だけで解決できる課題ではありません。
だからこそ、E:N BASEのように、多様な主体が集まる場所が重要になります。NF愛媛は、海外農業研修の経験を持つOB・OG会員を通じて、地域農業の現場と共創の場をつなぐ役割を担うことができます。
今後、E:N BASEが単なる新しい施設として終わるのか、それとも愛媛の未来を動かす実践の場になるのかは、そこにどのような人が集まり、どのような問いを持ち込み、どのような行動につなげるかにかかっています。
視察を終えて
今回の一般公開視察は、私たち国農連にとって、単なる施設見学ではありませんでした。県庁の中に生まれた新しい共創拠点を前にして、私たち自身の活動もまた、次の段階へ進む必要があることを確認する機会となりました。
海外農業研修は、若者を海外へ送り出す制度であると同時に、帰国後の地域農業を支える人材を育てる仕組みです。その成果を、県内各地のOB・OG会員の実践として見える化し、若者、行政、企業、教育機関、地域団体へつなげていくこと。そこに、これからの国農連の役割があります。
E:N BASEは、そのための新しい入口になり得る場所です。愛媛県国際農業者交流協議会としても、この場所を活かしながら、愛媛の農業、地域資源、海外農業研修の経験を次世代へつなぐ活動を進めていきたいと考えます。
English Summary
On May 8, 2026, NF Ehime joined the first public preview of E:N BASE, a new public-private co-creation hub in the Ehime Prefectural Government Second Annex. The visit suggested that E:N BASE can become more than a venue for promoting overseas agricultural training. It can serve as a meeting point where NF Ehime’s OB/OG members, who are active as regional agricultural leaders across the prefecture, connect with businesses, education, government, and other local actors to create new value for Ehime agriculture.