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【募集開始】令和8年度 農業研修生海外派遣事業 実施要領 及び キャラバン活動計画書等のご案内

国際農友会英名:The Alumni Association of Japanese Overseas Agricultural Trainees

全国の帰国農業研修生で構成された国際農友会は、世界に羽ばたく日本の農業青年を応援しています。

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【長崎県】令和7年度 九州ブロック大会 実地研修②「地域農業を“売れる体験”に変える力を学ぶ」

【長崎県】令和7年度 九州ブロック大会 実地研修②「地域農業を“売れる体験”に変える力を学ぶ」

2026年7月10日 長崎県国際農友会
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令和7年度 九州ブロック大会 実地研修②

地域農業を「売れる体験」に変える力を学ぶ

― おおむら夢ファームシュシュ 講演・施設見学 ―

2026年1月23日、令和7年度 九州ブロック大会・国際化対応営農研究会の実地研修として、長崎県大村市の「おおむら夢ファームシュシュ」を訪問しました。

九州ブロック大会は1月22日に大会・研究会を開催し、翌23日に長崎県内の2つの視察先を訪問しました。本記事は、その実地研修記録の一つとして、有限会社シュシュ 専務取締役・山口純典氏による講演と、施設見学で得られた学びを整理したものです。

おおむら夢ファームシュシュの施設入口。地域農業を体験へつなぐ拠点として、多くの来訪者を迎えています。
おおむら夢ファームシュシュの施設入口。地域農業を体験へつなぐ拠点として、多くの来訪者を迎えています。

講演者情報

講演者 山口 純典 氏(YAMAGUCHI Suminori)
所属・役職 有限会社シュシュ 専務取締役
所在地 〒856-0005 長崎県大村市弥勒寺町486
連絡先 TEL:0957-55-5288 / FAX:0957-55-5323

今回の学び
六次産業化は、単に農産物を加工して販売することではありません。地域らしさを伝える企画、消費者が参加できる体験、メディアに届く話題性、そして農家と地域が継続的につながる仕組みづくりが重要であることを学びました。

農家による直売所から始まった挑戦

山口氏の講演では、同施設が農家を中心に立ち上がったこと、最初は直売所から始まり、その後、手作りジェラートショップ、農家レストラン、パン、食育体験、加工品開発などへ展開していった経緯が紹介されました。

特に印象的だったのは、ジェラートショップの立ち上げ時に、単なる開店告知ではなく、「農家がジェラートショップを始める」という意外性を前面に出し、新聞・テレビなどのメディアに取り上げてもらったという点です。

この経験から、山口氏は、商品や企画を考える際に「マスコミに届くか」「話題として伝わるか」を意識していると語りました。農業経営においても、作る力だけでなく、伝える力が重要であることを示す具体的な事例です。

山口氏がスライドを示しながら、おおむら夢ファームシュシュの歩みと事業展開について説明しました。
山口氏がスライドを示しながら、おおむら夢ファームシュシュの歩みと事業展開について説明しました。

直売所が抱える現実と、農家の高齢化

直売所では、地元農家から野菜、果物、加工品などを集めて販売しています。講演では、契約農家数や手数料、売上規模についても説明がありました。一方で、現在の大きな課題として、農家の高齢化と出荷者不足が挙げられました。

かつては出荷希望を断るほど農家側からの供給があったものの、現在は直売所側が農家を探し、出荷をお願いしに行く状況になっていると説明されました。直売所の課題は、単なる販売力の問題ではなく、地域農業そのものの担い手不足と直結しています。

直売所内には、地元農家から集まった農産物や加工品が並びます。地域の生産者と消費者をつなぐ重要な接点です。
直売所内には、地元農家から集まった農産物や加工品が並びます。地域の生産者と消費者をつなぐ重要な接点です。

「山の中まで来てもらう」ための差別化

おおむら夢ファームシュシュは、立地条件としては決して便利な場所ではありません。そのため、講演では「麓(ふもと)と同じことをしていては、わざわざ来てもらえない」という考え方が繰り返し示されました。

ジェラートでは、梨、さつまいも、かぼちゃ、いちじくなど、旬の地元農産物を活用し、一般的なアイスショップとは異なる魅力を作っています。パンや菓子についても、都会的な流行をそのまま取り入れるのではなく、地域らしい素朴さと少しのおしゃれ感を組み合わせる姿勢が語られました。

農家レストランから人生の節目まで広がる体験設計

レストラン事業では、当初の焼肉中心の構想から、来店者層に合わせてバイキング形式へ転換した経緯が紹介されました。「誰々さんの野菜を使っている」という見せ方により、安心・安全・健康を打ち出し、地域農産物を料理として伝える場へと発展していきました。

さらに、結婚式や法事といった人生の節目にも、施設ならではの演出を取り入れています。新郎新婦や家族が関わる花のアレンジ、農産物を使った乾杯や引き出物、故人が作っていた梅酒を法事で使う提案など、地域農業と家族の記憶を結びつける工夫が語られました。

このような取り組みは、単なる施設利用ではなく、農業と地域の暮らしを「物語」として体験化するものです。

直売所内には、地元農家から集まった農産物や加工品が並びます。地域の生産者と消費者をつなぐ重要な接点です。
農家レストランでの食事風景。地域農産物を料理として味わうことが、来訪者の体験価値につながっています。

食育体験とグリーンツーリズム

子ども向けの食育体験や、学校との連携も重要な柱として紹介されました。子どもの頃に体験した記憶が、将来の来店や就職につながる可能性があることにも触れられました。

また、同施設は大村市のグリーンツーリズムの事務局的な役割も担い、梨狩り、ぶどう狩り、いちご狩りなどを各農家へ振り分ける仕組みを持っています。行政が休みとなる土日にも観光客は動くため、民間側が窓口機能を担う意味があると説明されました。

いちごハウスでの見学。食育体験や果物狩りは、地域農業を来訪者に身近に感じてもらう重要な入口です。
いちごハウスでの見学。食育体験や果物狩りは、地域農業を来訪者に身近に感じてもらう重要な入口です。

加工品開発と「捨てるものをなくす」発想

講演では、牛乳の余剰を活用したプリン、梨を使ったパイや焼肉のたれ、野菜や果物を活用したジュース・ドレッシングなど、加工品開発の事例も多く紹介されました。

重要なのは、加工品を単に作ることではなく、地域で余るもの、規格外になるもの、農家が持つ素材を活かし、商品化する視点です。ふるさと納税やネット販売、受託加工にも取り組み、農家や地域の商品化を支援する仕組みづくりが進められています。

人材・人件費・次世代への引き継ぎ

一方で、手作りを重視する事業ほど人件費の上昇が大きな課題になります。講演では、正規職員、契約社員、パートを含む雇用体制や、最低賃金上昇による負担増についても率直に語られました。

また、山口氏自身が長年常勤として関わってきた中で、今後は次の人材を育て、事業を引き継いでいく段階にあることも示されました。六次産業化の継続には、商品開発だけでなく、人材育成と組織運営の視点が不可欠です。

海外農業研修経験との関係

山口氏は、自身の海外農業研修経験についても触れました。若い時期の2年間は貴重な経験であった一方、当時はまだ農業経営上の課題意識が十分になかったため、現在の事業運営へ直接つながったとは言い切れない、という率直な見解も示されました。

これは、海外農業研修の価値を考えるうえで重要な示唆です。研修経験をより深く活かすには、派遣前後の課題意識、帰国後の実践、OB・OG間の学び直しの場が必要になります。

NFとしての示唆
今回の講演は、帰国研修生が地域でどのように事業を育て、地域農業の価値を消費者へ伝えていくかを考えるうえで重要な実例です。直売所、加工、体験、観光、教育、広報を組み合わせることで、農業は単なる生産活動から、地域全体を巻き込む事業へと広がります。

English Summary

On January 23, 2026, participants of the Reiwa 7 Kyushu Block Meeting and Internationalization-Oriented Farm Management Study Meeting visited Omura Yume Farm Chouchou in Nagasaki Prefecture as part of the field training program. The visit included a lecture by Mr. Suminori Yamaguchi, Senior Managing Director of Chouchou, and a tour of the facilities.

The lecture introduced how a farm-based initiative developed from a farmers’ direct sales outlet into a diversified regional agribusiness combining gelato, farm products, restaurants, food processing, educational programs, fruit-picking experiences, green tourism, weddings, memorial services, online sales, and commissioned processing.

One of the central lessons was the importance of creating stories and experiences around local agriculture. Mr. Yamaguchi emphasized that media relations, originality, and local identity have been essential to attracting visitors to a rural location. Rather than imitating ordinary shops in town, Chouchou has focused on products and experiences that can only be offered by local farmers.

The lecture also highlighted serious challenges facing rural direct sales outlets, including the aging of farmers, a shortage of suppliers, rising labor costs, and the need for succession planning. At the same time, Chouchou’s efforts in food education, school collaboration, green tourism, and product development show how agriculture can connect with consumers, children, local families, and regional tourism.

For NF and the wider network of former overseas agricultural trainees, this case offers an important model. The value of overseas training is not limited to individual experience abroad. It can be further developed when alumni return to their communities, identify local challenges, and create systems that connect production, processing, sales, education, tourism, and regional storytelling.

編集メモ:
本記事は、令和7年度 九州ブロック大会・国際化対応営農研究会における「おおむら夢ファームシュシュ」での講演録音および現地取材写真をもとに、内容の重複を整理し、ブログ記事として再構成したものです。

視察協力:有限会社シュシュ
〒856-0005 長崎県大村市弥勒寺町486
TEL:0957-55-5288 / FAX:0957-55-5323

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